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横浜FC 2021シーズン新加入選手まとめ【MF,DF,GK編】

開幕まであと2週間を切った。

前回はFW編ということで、新加入4選手について簡単に見てきたが(前回記事はこちらから→横浜FC 2021シーズン新加入選手まとめ【FW編】 - sun-set Football

今回は残りのポジションにおける新加入選手たちについてチェックしていこうと思う。

選手について掲載して欲しい情報などがあれば、ぜひご連絡ください。お待ちしております。

 

MF編

MFの補強は、全ポジションで最も消極的なものとなった。裏返えせば、昨季の出来にそれほど満足しているという事なのだろう。

中盤のプレー強度は2021シーズンの戦い方のベースになることは間違いなく、新加入のアタッカー陣といかに融合し、ポゼッションの質を攻撃的にできるかに注目したい。

その上で、戦術的にあと少し足りない残りのピースをピンポイントで獲得してきた印象だ。

(杉本選手は昨季の夏に途中加入したが、今回はこちらでも紹介をしたいと思う)

 


No.4 高橋 秀人 (たかはし ひでと)

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■主なポジション:ボランチセンターバック

■生年月日:1987年10月17日(33歳)

(他の1987年生まれ:六反勇治、竹重安希彦など)

■身長:182cm

■推定市場価値:550000ユーロ (約6959万円)

■プレースタイル:

ユーティリティ性が高く、攻守におけるスマートなプレーが特徴。

中間ポジションをうまく取りながらパスで攻撃の流れを作り、それらを実現する足元の技術も確かなものがある。

守備時のポジショニングミスも少なく、戦術理解力も高そうだ。

他にもDFのように空中戦が可能で、中長短のパスの精度も悪くない。

派手さこそ無いものの、選手として非常にバランスの良いプレーヤーだ。

■期待:

ポゼッションサッカーを志向するチームにおいて、セカンドボールをより多く回収するために、空中戦に強いMFを置くことはヨーロッパなどでもよく見る手段である。高橋秀人も例外なくそのことを期待されての獲得だろう。

多少足元の技術が劣ろうとも、空中戦に勝ちセカンドボールを物にできるというのは、それほどまでにボール支配率へ与える影響が大きい。

またその他にも、攻守両方のセットプレー時に効果を発揮する事が予想される。

CB2枚とCF1〜2枚のみの相手に対して、自チームはそれに高橋を加えた状態でセットプレーに挑む事ができるため、空中戦要因の数で優位に立つことができ、うまく立ち回ればどこかでアンマッチを作り出せるかもしれない。

セットプレー時、各ポジションに個で勝てる選手を配置できない横浜FCの資金下においては、数的優位に立ちながらセットプレーに挑む事が非常に重要であり、そのために高橋秀人が機能することに期待かかる。

■端的に言えばどんな選手?:

元日本代表の長谷部誠がイメージしやすいのかもしれない。

プレーもそうだが、精神的な周囲への影響力という面でも似ているように感じる。

 

No.31 杉本 竜士 (すぎもと りゅうじ)

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■主なポジション:サイドハーフ

■生年月日:1993年6月1日(27歳)

(他の1993年生まれ:韓浩康、志知孝明など)

■身長:164cm

■推定市場価値:350000ユーロ (約4429万円)

■プレースタイル:

アジリティ(俊敏性)を活かしたドリブルと正確なキックが特徴。

両サイドでプレーすることが可能で、縦に突破してクロス、中に切り込んでシュートとプレーの引き出しも多く、またその質も高い。

小柄な選手だが、当たり負けするという心配はなく、相手を背負ってドリブルする姿は昨季にも見せてくれた。

■期待:

昨季の杉本は一旦忘れていいだろう。彼本来のプレーが出るにはあまりにも合流後の練習時間が短く、また実践から離れた時間が長かった。今季の彼のプレーを見て判断して欲しい。

今の横浜FCにはスピードを活かしたドリブラーが多く、相手DFにしっかり引いて守られると、そのスピードはどうしても活かしづらくなってしまう。速攻を封じられた際に、ボールを持ってパスを回せど攻め手に欠け、結局昨季は遅攻での得点がほとんど生まれなかった。

そこで杉本のようなタイプのドリブラーが活きてくるはずだ。

流れが完全に停滞した所からでも、いわば無理やりにでもドリブルで突破することが出来るため、そこで相手DFがカバーに入れば陣形に淀みを生むことが出来るし、クロスやパス、シュートによってチャンスメイクにまで至れば必ず得点の形ができるはずだ。

ドリブルで仕掛けることによって遅攻時の攻撃のスイッチを入れる(起点になる)プレーに期待したい。

■端的に言えばどんな選手?:

ポゼッションサッカーに最適な攻撃的サイドMF。

 

DF編

2020シーズン最も選手層が薄かったのがDFで、特にSBはまさにチームの穴となってしまっていた。

競争も生まれづらい中でなかなかプレーの質を上げていくのは困難であるため、今オフは同じ水準でSB・CBを多く獲得し競争を激しくする狙いが見て取れる。

またポジショナルプレーへの適応能力として、複数のポジションを熟すユーティリティ性の高い選手を揃える意図も条件としてはありそうだ。


No.22 岩武 克弥 (いわたけ かつや)

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■主なポジション:サイドバック

■生年月日:1996年6月4日(24歳)

(他の1996年生まれ:手塚康平、袴田裕太郎、草野侑己など)

■身長:173cm

■推定市場価値:150000ユーロ (約1905万円)

■プレースタイル:

どちらかといえば守備寄りのSB。

対人にはめっぽう強く、豊富な運動量を有するなど、フィジカルに長けたプレーが特徴。

また、タイミングよく右サイドを駆け上がりクロスを上げる事もできれば、中央にも顔を出しつなぎに参加するなど、プロ入りしてからはその運動量を活かしプレーの幅を広げているようだ。

■期待:

横浜FCは守備時にハイプレスとリトリートを何度も切り替えたり、攻撃時は後ろから繋ぎながら前線まで運び、攻撃に失敗するとまた後ろまで戻してやり直すなど、ボールもよく動くが選手もよく動かなくてはならないのが戦術上の特徴。

昨季はMFの選手がよく走り疲れてしまっていた印象で、岩武の無尽蔵のスタミナがそれらをカバーすることで解決してくれることに期待したい。

瀬古樹が体現した偽SBの動きは戦術上極めて理想的だったが、要求される運動量と技術、守備力は高くSEでそれを体現できる選手が居なかったように思う。

しかし岩武は、同じかそれ以上のプレーをするだけのポテンシャルを秘めているはず。

SHの選手が中に入ればそこへ入り攻守のバランスを取り、ボランチの選手が前へ上がればそこへ入ってプレス参加するなど、MFの選手が昨季一人二役をしていた部分を岩武がどれだけ変わってできるかがチームとしても鍵を握りそうだ。

■伸び代:

SB特化になるには、スピードやキック(クロス)など攻撃面での個性に欠ける。

一方で、左右両方やCBが出来るなどユーティリティ性の高さがうかがえ、また運動量や周りを活かすプレーなどの長所があるため、一列前(ボランチやSH)の動きを下平監督の元で覚えることで、次世代型のSB(偽SB)として開花する可能性が十分にある。

 

No.24 高木 友也 (たかぎ ゆうや)

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■主なポジション:サイドバック

■生年月日:1998年5月23日(22歳)

(他の1998年生まれ:市川暉記、山本凌太郎など)

■身長:176cm

■推定市場価値:50000ユーロ (約635万円)

■プレースタイル:

サイドの仕事人。若いが渋さが光る。

スピードとフィジカルを活かした縦への突破が特徴。

頭を使ったプレーを心掛けているのが伝わり、ビルドアップやゲームメイクする部分にも慣れていて、キックやクロスの質も悪くない。

■期待:

同じポジションを争うのは武田や袴田や前嶋になりそうだが、どの選手とも違ったプレースタイル。

練習からアピールして競争を勝ち出場するのが一番だが、例え開幕から出れなくても長い目で見守りたい。単純に最初からルーキーを使うのはなかなか監督としても難しい。(だからこそ先発で出ることになれば、その実力は本物である)

シーズンを通して武田や前嶋、袴田が不振の時に必ず出番は回ってくるはずで、その時に他の二人には出来ないプレーをしっかりと魅せることができれば、監督にとっても采配の幅が広がるし、つまりそれはチームを救う事になる。

重要になのは初出場でのプレー。期待がかかる。

 

No.26 韓 浩康 (ハン・ホガン)

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■主なポジション:センターバック

■生年月日:1993年9月18日(27歳)

(他の1993年生まれ:杉本竜士、志知孝明など)

■身長:184cm

■推定市場価値:225000ユーロ (約2860万円)

■プレースタイル:

強靭なフィジカルを活かしたシンプルかつアグレッシブな守備が特徴。

空中戦や対人の強さはJ3で無双状態だったと言え、抜群の安定感を見せた。

見ていると、強さもありながら細く軽く筋肉をつけている印象で、上背も高いが足も長いことから、ある程度素早い動きにも対応ができそうだ。非常に良い体作りが出来ていそうで、J1でもやってくれそうな期待感がある。

■期待:

下平監督就任後に補強したCBとしては少し珍しいタイプ。どのようにして試合で起用していくのか、どのようなスキルをここで成長させ、どのようなプレースタイルを確立していくのか注意深く経過を見ていきたい。

対人の強さがJ1でどのくらい通用するかが肝になるが、クロスやセットプレーの対応、被カウンター時の対応などで安定した守備力を披露すれば、かなりチームとしても計算が立つ。

ビルドアップの部分はおそらくこれからなところがあるだろうが、勤勉な性格もありそこはすぐにフィットしてくる予感がある。

"守備の安定した選手にビルドアップを仕込む"という補強成功例に、彼がなってくれることを願う。

■端的に言えばどんな選手?:

シンプルに力強く守備をする印象的があるため、プレースタイルは川崎裕大(横浜FCSC相模原)がイメージしやすいように思う。

 

No.27 中塩 大貴 (なかしお だいき)

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■主なポジション:センターバック

■生年月日:1997年6月8日(23歳)

(他の1997年生まれ:松尾佑介、齋藤功佑、前嶋洋太、瀬古樹など)

■身長:181cm

■推定市場価値:225000ユーロ (約2860万円)

■プレースタイル:

左利きのCB。的確なポジショニングと確かな足元の技術によるビルドアップが特徴。

また昨シーズン、ルーキーイヤーながらJ2の舞台でCBとして22試合出場。自陣空中戦や守備力、ボール奪取の能力も決して低くないことが分かる。

■期待:

昨季左CBに定着したのは、中塩と特徴も重なる小林友希(→ヴィッセル神戸へレンタルバック)。

組み立て時やボール奪取時に素早く適切なポジショニングを取ることができ、ボールもきちんと収まるため、ビルドアップに安定感を齎した。チーム内パス数ランキングは一位でそれはデータとしても表れている。

当然、ビルドアップを得意とする中塩は昨季の小林同様の活躍が求められるだろう。

守備の部分では、昨季の小林も安定していたとは言えないため、彼以上の結果に期待したい。

■伸び代:

線が細い印象で、守備時のフィジカル面がどの程度通用するのかが懸念点であろうか。

とはいえ、J2をよく知る人たちの中には「対人も強い」と語る者が多く、またJ2でも体格で優位に立てていたとは言えない中多くの試合に出場し安定した守備をしていた事からも、体格差をテクニックで補うスキルは有りそうだ。

それがJ1でも通用すれば、ビルドアップ面も含め十分に即戦力として計算が立つ。

 

GK編


No.28 猿田 遥己 (さるた はるき)

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■主なポジション:ゴールキーパー

■生年月日:1999年4月23日(21歳)

(他の1999年生まれ:横浜FC該当なし)

■身長:190cm

■推定市場価値:50000ユーロ (約635万円)

■プレースタイル:

まだまだ出場も少なく未知数ではあるが、バランスの取れたGK。

恵まれた体格を活かしたダイナミックなシュートストップも良し、下平監督仕込みの足元で繋いでも良し。ロングフィードも悪くない。

■期待:

怪我の影響もあるためシーズンのどこから試合に絡んでくるのかは分からないが、ポテンシャルだけを見れば十分に出場の可能性はある。

練習から実力を示し、GKのポジション争いを激化させ、後ろから繋ぐというチームのスタイルを底上げして欲しい。

当然、試合に出ることが出来れば、過酷なシーズンにおける六反(正GK)の負担軽減とプレースタイルの安定化にも期待ができるはずだ。

 


 参考:

www.transfermarkt.com

注: 市場価値などの情報は、記事作成時のものとなっております。ご了承ください。