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三ツ沢からフットボールを観測

雑記|J2 第1節【横浜FC】

優勝、そして1年でのJ1復帰を目指すシーズンがついに開幕。チーム、クラブ、サポーターもそのつもりで挑んだ開幕戦・・・も、まずは先行きが危ぶまれるスタートとなった。

レノファ山口が特別良かったという感じにも見えず、おそらく多くの人が見て感じた通りウチが良くなかったのだろう。

何が良くないのか、何が前節のようなゲームにしたのか、早速考えてみようというのが今回のテーマ。まだまだ1試合のみで分からないことばかりだが、思いつくままに書いていく。

 

先に少し話すと、プレーを見た第一印象は、基本的に選手個人のコンディションは全員がそれほど悪くなく、選手の層はやはりJ2の中でもトップクラス。今はチームとしての問題が大きい状態と考えている。

可変しなかった可変システム

ボランチが横並びのままで、なかなか中央を攻めきれない

・長めのボールからたまにアタッキングサードにボールが入っても、相手のディフェンスの数に対してワントップを筆頭に前線は全体的に孤立気味。ゴール前に迫れる気配無く。

・結局サイド深くにボールを運ぶことが多くなるも、WBと同サイドのシャドーが同じレーンに押し込まれバックパスに逃れるか苦し紛れのクロスでボールロスト

試合後に色々と上記以外のことも考え、細かい課題が山積みのように見えたが、結局は守備→攻撃の可変が全然できていなかった(うまくいかなかった)ことに大元の原因を今は一番に感じている。

 

3-4-2-1の状態から、特に中盤より後ろの選手は初期位置から思い切りよく離れることができず(自分の守備担当エリアにへばり付き)、強いて言えばWBがサイドのレーンを上下に動く程度で、そのため前線のどこにおいても数的優位性を築けず、相手ブロックを崩す手掛かりすら掴めなかった(シャドーとWBが被ったり・・・)。

↑少し意地悪に悪く書いてますが・・・

ポゼッションを得てからの遅い攻撃で、後ろに人数の多い守備寄りのフォーメーションのまま可変せずに攻めるものだから、アタッキングサードは単純に人数が少なくスカスカで、攻撃は単調に。そのため得点の期待値は、1:nを個人の力で突破するか、相手ブロックが手薄になったカウンターか、数的同数になるセットプレーかにほとんど限定されてしまっていて、山口も読み易かっただろう。

 

試合を通して遅攻による得点の期待値を上げるためには、「数的優位性」を守備のリスクを抑えつつ如何に作るかがやはり大事だ。

選手が充実している横浜FCなら「個の優位性」で相手の守備を上回り得点することも期待できるが、それにしても前節のままでは1:2もしくは1:3で囲まれる局面がほとんどで相手を崩すにはせめて一部のエリアでも同数にはしたいところ。

ボールを失った時のリスクばかりに気を取られ可変しないのでは、3-4-2-1のフォーメーションの恩恵を受けることは難しい。守備に重たく(かといって堅守速攻ほど守備寄りの硬い選手起用ではなく)攻撃はノーチャンスに。

守備時に5-4-1(5-2-2-1)へのネガティブトランジションはスムーズで、昨季の自信もあるせいかある程度前節も武器として見せることはできていたため(失点のシーンはミスから、何回かの決定機は福森の裏を長いボールで突かれてから)、あとは攻撃の可変をどうするかで一気に好転し得る。前節からはほとんど見て取れなかったが、チームとしてこれから整理していく必要がありそうだ。

 

可変の一例。例えば、攻守可変の選手毎移動距離を抑えるなら、WBが中に入って、シャドーが外に張るパターン。中盤が一枚上がり4-2-1-3のような形になってレーンを活用しながら人数をかけて崩していくポジティブトランジションなども考えられる。(左右反転可)

5-2-2-1 から 4-1-3-1

前節は右利きの山根を左(カットイン)、ボランチの適性も感じる中村を右に起用していたため、WBが中に入ることを期待していたようにも映り、こういった形も狙いの一つだったのかもしれない。

 

とはいえ、今回可変しなかったからといってチームとして可変のパターンを何も準備してこなかったことはまず有り得ない。上記含め当然何かしら準備はしているはずで、前節はそれが出せなかっただけではあるのだろう。

可変後の配置パターンが相手や状況に応じてチームとしていくつか決まっており、その中でどのパターンを選ぶのか選手間・ベンチ間で噛み合わなかったのが主な原因。次点で、守備位置に張り付き気味だったことを考えれば、単に開幕で固くなってしまいポジティブトランジションが遅れ、体現できなかっただけというところだろう。

まとめ

ここまで話した上で身も蓋もないことをいうかもしれないが、結局は新加入も多くまだチグハグなことが一番の原因に映る。

アドリブに強くない四方さんは、基本的に試合中にそのズレを修正して選手にさっと落とし込むみたいなことはこれからもないだろうから、ここは辛抱強く選手たちにパターンが浸透して、同じ絵を描きやすくなるまで粘り強く待つしかない。ただ、今季は潮音をはじめ昨季からの主力も多く残り、また福森・中野など四方さんをよく知る選手も新加入にいるため、これまでほどチームビルディングに時間がかからない可能性もある。

もっと楽観的に見れば、次節から選手の意識が変わるだけで可変の問題はスッと改善されるなんてことも一応ないことはない。

 

ひとまず次節。相手からすれば少し対策しやすくなってしまうが、それでも攻めのパターンを減らしてまずは攻撃の形をある程度成立させてしまうのか。あるいは、まだ慌てず理想に向けてトレーニングで実直に落とし込みに注力するのか。チームがどう整理してくるかに注目したい。

レビュー|起死回生の前半戦 2023シーズン(第6-17節まで)【横浜FC】

2023シーズンが開幕から早くも折り返し地点の第17節までが終了。

(試合数こそ違うチームが残るも)横浜FCは現在、勝点13で16位(3勝4分10敗)。一時は定位置になっていた最下位を脱してリーグ前半を終えることに

開幕から未勝利が長く続き膨らんだ勝点の負債を、直近の数試合で勝点を急いで積み上げ完済に成功した。

良いチーム状態でこれからシーズンの後半戦へ入っていくわけだが、試合の内容として勝ち点の拾い方に自信が出てきたこと、今季は降格枠が1つであることを考えても、残留の希望は大いにあるはずだ。

 

リーグ序盤の大惨事を考えれば、直近は非常に良い試合を続けている。得点力は依然として物足りないが、今のチームには"J1屈指の堅守"という特徴が芽生え、失点数が大きく減ることでコンスタントに勝点を積み上げることができるようになった。

その堅守の要因は周知の通り、システムの変更に他ならないだろう。開幕から敷いていた4-2-3-1から、昨季主軸にしていた3-4-2-1へ変更したのが第11節。そこで初勝利を上げると、現在まで2戦に1勝ペースと大きく生まれ変わりに成功している。

なぜシステムの変更がそれほど安直に守備の向上へ繋がったのか。今回は守備に絞って簡単に考察していきたい。

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まず大前提として、開幕から選手たちのインテンシティは試合を追うごとに確実に向上を続けてきた。システム変更前も着々と修正を重ねていき、良い内容を見せる試合も多く、J1復帰一年目とはいえ、結果ほど選手の個のレベルで他のJ1チームに大きく劣ることはなかった印象だ。

しかし失点が減らないことで結果へ繋げる事がなかなかできずにいた。

システム変更により様々な相性が戦術と噛み合い、チグハグが解消されたことで、失点が減り、すぐに結果が出るチームへ一転した。

1.選手層

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4-2-3-1と3-4-2-1で戦術としての機能にそれほどの優劣は無く、以前の4-2-3-1にも現在の3-4-2-1にも課題はあるのだが、システムの抱える問題・課題と、現在の主力選手のストロングとがピッタリとハマることで戦術として成立したのが3-4-2-1だったと考えている。

3-4-2-1の課題とソリューションのセットを大きなところで二つ例を挙げると

課題①: シャドーに求められる無理な守備タスク

4-2-3-1の時と比較して、現在の3-4-2-1ではシャドーが相手のCBとSBの両方を消さなくてはいけない場面が多い。相手のビルドアップ時はまさに犬のようにボールを素早く追う必要が常に出てくる。それでいてシャドーがプレスバックをサボる・間違えれば、すぐに数的優位性を相手に作られゴールへ簡単に迫れてしまう泣きのポジション高い機動力と、攻撃的な選手には余る守備力がマストになる。

だがあくまで攻撃的なポジション、攻撃時に相手を崩すための足元の技術も同時に要求される

→泣きのポジションと言ったが、現状はほぼ完璧に課題①のタスクをこなしている。上記課題の通りシャドーのスピードありきの守り方であるため、序列で山下が頭一つ抜けているが、山下以外にも同様の特徴を持つ選手が今のチームには多く、現在の横浜FCが持つ選手層の強み・厚みと課題①を解決する方法が一致している

比較して4-2-3-1はピッチ上に人を満遍なく配置できるため攻守で穴が少ないメリットこそあるが、かえってスペースが減って自選手の強みである機動力を潰すことに。狭いスペースでのプレーを得意とする選手には良いシステムなのだが、チームにそういったタイプの攻撃の選手が少なく、限定された選手層から無理に選んだメンバーで挑むため、無理がたたって大きなミスや、試合後半の息切れに繋がっていた。

課題②: エリア内被チャンス数の多さ

シャドーが常に犬のように走り回り、WBとボランチが最適にカバーを続けることで、機会を減らすことこそできても、やはり相手がサイドに人数を集めてくれば必然的にSBなどを中心に相手に浮いた選手がどうしても出来てしまう(相手は陣形を崩しているため、逆にウチはカウンターのチャンスでもあるのだが…)。

フリーの選手ができれば、質の高いクロス、短いパスを使った連携でエリア内に侵入するなど確実にゴールへ迫ってくるのがJ1。そうなれば、中(ゴール前)での勝負になってしまい、常に危険(局面で負ければ即失点)と隣り合わせで守り・戦い続けなくてはいけない

→今も上記の現象は変わらず起きているが、結論としては、今の3CB+GKを中心とした選手たちが中での勝負に勝ち続け、ひたすら弾き返して弾き返して弾き返しているのが現状だ。

サイドからの攻撃はもちろん、中央からの縦突破にもうまくチャレンジしながら弾き返している。やってできるなら全チームがそうしているし、本来なかなかできることではないのだが、今のウチはそれができている。選手の特性に依存した上で成り立っているが、サッカーとは戦術ばかりの頭でっかちでも良くない。時には属人化も重要で、対人守備(デュエル)に集中することで圧倒的にパフォーマンスを引き出せる選手がチームに多く揃っているなら、戦術の根幹・前提に使うのも有効かもしれない。

"外はある程度捨てて中で勝負"、リスクは高いが今の最終ラインのユニットなら成立する立派な戦術守備時3バック(5バック)のため、中は常に数的優位性を築けているのも大きい。

相手SBなどが浮いてしまう3-4-2-1における守備の必然を危機に感じた昨季の四方さんは、おそらくこの問題を解消したくオフから4-2-3-1に取り組んでいたのだと私は予測をしている。中での勝負ではなく外での勝負に本来は持っていきたかった。比較して、4-2-3-1になれば先に述べたように満遍なくピッチに選手が配置されるため、最適にカバーを続ければ、エリア内に侵入させる前にボールを奪える・侵入を防ぐことができると考え、事実それが定量的に形として見られる時間もあった。

しかしこの思惑はとにかく成立しなかった。4-2-3-1の場合、結局どのエリアも数的不利は回避できるが、数的優位性を築くことも出来なかったのが一つの要因で、特にSBにデュエルで安定して勝ち続けられる守備力の高い選手を多く揃えられていないウチはサイドの1対1で相手に局面を突破され、その綻びが元で一つずつズレていき最後ゴール前で相手の選手をフリーにしてしまうことも多かった

またボールを奪った後にも問題があった。せっかく奪っても4-2-3-1の場合は、相手もウチの守備陣系に合わせて満遍なくピッチに広がっていることが多く、広いスペースはなかなか無い状態。狭いスペースで繋ぐのが得意な選手が揃っていれば相手陣形のズレを突いてむしろ攻撃の起点になるのだが、ウチはどちらかいえば苦手な選手が多く、奪ったあと繋ぎでミスが起きて、即座に奪い返された流れのまま相手に得点機を作られるパターンに陥ってしまっていた。

比較して3-4-2-1の場合は、中央の低めに人が集まっているため、サイドや前線のどこかに常に大きなスペースが空いていて、ボールを奪った後はスペースを活用した攻撃に移り、鋭いカウンターの起点になっている前線にオフザボール、最終ラインにロングフィードの得意な選手が揃っているウチにはこちらの攻め方がマッチしていた。良い攻撃が多く生まれることで、結果的に守備を良い守備として成立させている。

"良い攻撃は良い守備から"。"守備は攻撃の準備"。

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戦術の穴を選手たちのストロングで補えず成立しなかったシステムが4-2-3-1選手たちの特徴に依存することで成立したのが3-4-2-1と、まとめることができるのかもしれない。

守備は"中で勝負"なんて怖くてとても長いリーグ戦で強行できる守備戦術ではないが、ウチにはスペシャルなGKブロがいる。開幕時の主役は間違いなく小川航基で、彼のために戦術が組まれていたが、今の主役はブロだと考えている。セービング含めたブロの圧倒的なプレー強度を守備戦術の前提に、彼と抜群の相性を見せる岩武を中心に配置、岩武の弱点を補うべく吉野とモラエスを、と順に配置されていると考えると腑に落ちる。

2.ストライカーのトレンド

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「1.選手層と戦術の相性」で述べた通りウチは今、ある程度外を捨て中央低めに人を多く配置して守るスタイル。ゴール前、常に数的優位あるいは同数で相手の攻撃を受け、弾き返している。あくまでブロを筆頭に個の優位性で相手と同等かそれに近いため、数で勝ることで試合を通して相手を抑えることに成功している。

つまり、ゴール前数的同数以上の状況で、個の優位性で大きく相手アタッカーに上回られると、失点してしまうリスクを背負ったまま守り続けている。分かりやすい例を出すと、ペナ内にDF二人を背負ったままゴールを決められる、ペナ内DF二人に囲まれてもドリブル突破からゴールを決められる、そんなアタッカーが相手にいる状況では、数的優位性も無意味になり先に述べた守備戦術は成り立たない。だからこそ攻防戦で負ければ即失点の中(ゴール付近)ではなく、そもそも外で勝負して、中へ良い形でボールを入れさせない守り方を取るチームが多くなっている。

だが妙なのだが、現在のJ1リーグはJ2以上に、圧倒的なフィジカルを武器に中でDFとがっぷり四つで勝負するタイプのアタッカーが実は少ない。常に細かく動き直し、ポジショニングや駆け引きが非常に上手く、DFを剥がし陣形の隙を突くタイプや、DF裏のスペースを使うスピードタイプなど、フリーになるのが非常に上手く決定力に優れた特徴を持つ選手が多い

人数をかけてエリア付近のスペースを消し、相手のアタッカーにマンツーマン気味につき、フリーにさせないことに特別注力すれば、得点に繋がるプレーを潰しやすい傾向にある

現在の3CB+ブロの最終ラインを相手に数的優位性をひっくり返すほどの個の優位性を持つ選手ともなれば僅かなアタッカーしかリーグ内にはいない可能性も(それほどまでにウチの最終ラインの個の優位性が高いと言えるかもしれないが)。

本来、よーいどんで中にボールをガンガン入れられ続けて守り切るというのは難しいはずだが、今の守備戦術で勝ち点を拾えているのはリーグ全体のトレンドとの相性も大きいと考えている。

逆に、大迫などに個の優位性を存分に発揮される展開になると、なかなか厳しい試合になりやすい傾向は今後の試合でも予想される。

3.監督

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四方さんが4-2-3-1を志向したのは、何もポゼッションサッカーへのロマンだけが理由でなく、「1.選手層と戦術の相性」でも述べた3-4-2-1の守備の弱点を改善したい意図もあったが、4-2-3-1移行後も考えていたような守備の向上は結局得られず、かえって攻撃の無策さを晒すことになってしまった。攻撃面における頼みの綱のハッチンソン氏も最後まで機能せず、最終的には10節を持って切り替え、四方さんは昨季機能した3-4-2-1へシフトすることを英断した。

無策というのは事前の準備ということではなく、試合中に起きる事象へのアドリブ・対策対応などの采配をここでは指している。

10節以前に頻発していたケースを挙げると、用意してきた形が試合開始からある程度うまくいく→相手がやり方を変えてくる→守備はすぐに対応することも多いが、攻撃で効果的な手を打てないまま後手に周る→まずは攻撃から潰されてしまう。4-2-3-1は攻守のバランスが高いため、攻撃が詰めば守備も吊られて詰む。相手が気持ちよくボールを奪い理想的な形で攻撃へ入り崩し切るためウチの守備が崩壊したように映ることも多かった

比較して、3-2-4-1は大きく守備に寄ったシステム。まず守備策が常に最適であれば失点を防げる。途中で相手がやり方を変えてくるのに対して、交代など効果的な手を適宜打ち堅守を維持しているように毎試合映っている。

かけられる人数が減るなど、攻撃の難易度はますます高くなったためそこは課題だが、守備が堅い分、何とか崩そうと相手が前のめりになる傾向も強く、かえってカウンターはより刺さりやすくなっている印象だ。(システム変更に伴う戦術変更の副作用として、有力な攻め手がポゼッションからカウンターへ移行していて、前線とWBの選手の入れ替えが激しくなっている)

四方さんは以前から攻撃に対して無策な傾向が元々強く、逆に守備の細部をアドリブ的に詰めるのが上手い特徴があるため、それがシステムの持つ攻守のバランスにマッチしたことが昨季や直近の結果に出ていると考えられる。

四方さんはやはり守備の名将。本人もクラブもサポもリーグも再確認する5月となった。

おわりに

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リーグ後半戦に向けて、堅守という残留争いの足掛かりはできた。毎試合良い守り方ができていて、今の路線を軸にマイナーチェンジで今後もブラッシュアップの問題はないだろう。

選手層の不安は各ポジション大なり小なり残っているため、夏の移籍は注視したい。個人的には、特にボランチのララ井上が不動なものになりつつあるため、交代で勢いを失わないため、また競争を激しくするためにも補強ポイントと考えている。

あとは攻撃のところ。守備が整理されたことで良い奪い方から得点に繋がりそうなシーンも増えてきたが、それだけに、明らかなチャンスを自らふいにしてしまう場面も多くなっている。勝ち越し点もスーパーなゴールが多く、再現性はまだまだ低い。

より安定的に毎試合得点を量産するには、攻撃のユニット構築がまずは必要になってくる。昨季の「小川翔」や「長谷川小川ライン」などのユニットを今後見つけていけるかに期待したい。

レビュー|2023シーズンスタート(第1-5節まで):横浜FC【後編】

リーグ戦5試合を終えて、横浜FCは0勝1分4敗の勝点1で全体最下位(18位)。シーズン前に思い描いていたビジョンとは違うスタートを切ることとなった。

前回【前編】では、チームレビューを中心にシーズンの入りである第1節から第5節までを振り返った⬇️

sunset-football.hatenablog.com

今回【後編】は、第1節から第5節までで試合に出ている選手を中心にひとりひとり個別でここまでを簡単に振り返っていく(プレー時間が短いなどレビューをするにあたり不確定要素が多い選手は記載なし)

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目次

3.選手別レビュー

ポジションごと背番号順

FW -Foward-

7. 山下 諒也

個の優位性を生むことができる数少ない存在。彼のスピードはやはり怪物。J2と比較してフリーになれる回数がぐっと減り、時には3人に囲まれる場面もあるが、それだけでも相手陣形を乱す存在感がある。

【前編】でロングパス・フィードはフリーの受け手がいないため出せない状態にチームはあると述べたが、山下においては"彼だけが追いつけるボール"が存在するため、出し手もストレスなくスペースへ長いフィードを蹴ることができている。山下が出てくると攻撃に幅が生まれるのは、彼が生み出すサイドの優位性の影響も大きい。

あとはフリーになってからの部分。昨季ほど多くフリーの場面は作れないため、実際に相手を剥がしてからのクロスやシュートなどのプレーの質・強度が高くなっていけば、スタメン獲得はもちろん、チームを勝たせる選手へと大きく飛躍することは間違いない。

9. マルセロ ヒアン

開幕戦では、体のキレやシュートの精度などまだまだトップフォームからは遠い印象を受けた。また、現状のチーム戦術では小川とポジションが被ることもあり出場機会を得られていない。

ただ、その能力の高さはもちろん疑いようがなく、彼の持つ「自分は自分のやれることをやってチームを救うだけです」といったメンタルも今のチーム状況には合っている。プレーで辛い状況にあるチームへ自信とリバウンドメンタリティをもたらすことができるはずだ。

カップ戦や途中交代で活躍してアピールを続ければチャンスは必ず来る。あとは試合に出るために何が必要か。

(1)まずは単純に小川との競争に勝つこと。小川を軸に考えた今の戦術をひっくり返すほどのインパクトを残すか、小川以上に今の戦術にフィットしてしまうか。

(2)あるいはチームの守備が安定してくれば、攻撃的な選手に割ける枚数が増えるため、2トップの一角やトップ下として今の前線のメンバーと併用or入れ替わるようにして出る可能性も高くなる。

10. カプリーニ

攻撃の意識が高く、主導権を握れば常にゴールを目指す姿勢がチームにスイッチを入れる。ポゼッションサッカーだとどうしてもボールを持つことを優先したリスクの低いプレー選択をしてしまいそうだが、常にゴールへ最も近づく選択肢が無いかを探し、あればその選択肢を取り溢すことなく実行する。攻め気が強いあまり無理な攻撃から中央付近でリスクの高い失い方をするのは避けたいが、元々周りを見て選手を使うのが上手い選手、意外と冷静にピッチの状況は把握できてそうだ。試合を重ねるごとに、危機察知からプレーの使い分けは上手くなっている印象がある。

また、本当に素晴らしいプレースキックの持ち主で、彼がいるといないでCKや直接フリーキックの期待値は大きく変わる。できれば出場時間を長くしてプレーの回数を増やしたいと四方さんも考えているかもしれないが、現状リーグではジョーカーでの起用がメインとなっている。

チーム戦術として守備の貢献度も高く要求されるWBでの起用は少しリスクが高く、一方トップ下の序列では長谷川にリードを許している。だが小川のマークが厳しくなるにつれて付近にスペースが生まれ、トップ下に決定機も多くなっているため、長谷川に比較して決定力の高さをアピールできればポジションを確立できる可能性は十分にある。

個人的には、WBとしてカプリーニに似合わない守備に奔走する姿より、トップ下として今のビルドアップにフィットして、ゴールにアシスト・チャンスメイクでチームを勝たせる活躍に期待をしたい。

13. サウロ ミネイロ

-

15. 伊藤 翔

プレーを見る限りコンディションに大きく問題はなさそうだが、トップとトップ下の役割をこなせるユーティリティ性は示すも、大きなインパクトは残せていない。プレー時間が短い影響ももちろんある。志向する戦術の中で、自分のストロングを発揮するプランを見つけることができるか。このまま小川や長谷川の交代要員に甘んじる男ではないはず。

18. 小川 航基

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ここまで5試合4得点で得点王レースのトップを走る、まさにエースオブエースの活躍。彼のために用意されたチーム戦術へゴールで応える。

後ろからチーム全体でボールを繋ぎながら相手ゴール前へ押し込み決定的な形を作るスタイルにおいて、やはり求められるのは圧倒的な決定力(決定率25%以上を狙いたい)。シュートを外す(キャッチされる)=相手ボールになる=主導権が入れ替わってしまうため、不用意にシュートは打ちたくない。どれだけ献身的にポストプレーをしても、繋いで繋いでせっかく作った決定機を不意にしては意味がない。逆に、例えほとんどの時間で消えたとしても、最後の決定機を確実に決めれば彼の役割は十分とも言える。「良い形で彼に入れば必ず決めてくれる」と味方の体に浸透していくほど迷いがなくなり、判断も早くなり、攻撃にもっと幅ができてくるはずだ。

それを続けた先で(今もその状態に近いが)存在が脅威になりマークが厳しくなれば、必ず彼の近くでスペースが生まれやすくなり、2列目の攻撃参加やセットプレーが活きてくる。

絶対的なエースでチームの主役だからこそ要求も大きい。将来の日本代表ならその壁を超えてくれるはずだ。

28. グエン コンフォン

-

29. 石井 快征

-

29. 山根 永遠

仕掛けるドリブルや献身的な守備、スピードなど、攻守両面である程度自分のプレーをできている。実はそういった選手は多くないため、このまま攻守のバランスを取りながら成長することが山根のためには一番良い印象はあるのだが、一方で今のチームでどう活躍するのかは想像より難しい課題かもしれない。

昨季のように3-4-2-1であれば、両サイドのWBは攻守で等しく仕事を要求されるためバランスの良さが今以上に重要視されたが、今季はサイドに2枚(SB,WB)を置く4-2-3-1。WBの守備の献身性はもちろんベース部分として大事だが、やはりチームが勝つためには攻撃で違いを生まなければならない。具体的に言えばアシストやゴール、プレアシスト。

バランスを保ったまま攻守コンプリートできればもちろん理想的ではあるが(もしそうなれば引く手数多になるだろうが…)今のチームでポジションを確立するためには、まず攻撃の武器を今以上に磨いていく必要はありそうだ。

ただし現在、攻撃で絶対的なインパクトを残せているWBはチームに少ない。ここからの成長次第でファーストチョイスになれる可能性は十分にある。

MF -Mid Fielder-

4. ユーリ ララ

開幕してすぐにインテンシティの高さを見せつける。素早いプレッシングに、高いボール奪取力。ガブ&ボニと3人で守備を完結してみせた。

足元の技術も高く、狭いスペースで臆することなくボールを受けると細かくパスを繋げながらリズムを作り、相手陣内へと押し上げていく。

ただ直近は少し空回り気味。

ボール奪取の回数も減少傾向にあり、プレスのタイミングがズレて相手にパスを思うように通されてしまう(奪えない)ことも多い。ユーリ個人の戦術理解の問題なのか、選手間のコミュニケーションなのか、チームとしてプレスのコンセプトが浸透していないのか。いずれにせよ、なぜ以前よりプレッシングがハマらなくなったのかが改善されれば、比例してユーリのパフォーマンスも向上しそうだ。

もしかして同様の原因なのかもしれないが、ビルドアップ時に寄せてきた相手に気が付かずボールをロストするシーンが増えてきたことも気になる。

最初に述べた通りインテンシティも非常に高く、ポゼッションサッカーを志向する上で重要な選手のひとり。守備を安定させ、チームの失点連鎖を止めることができるか。

14. 高井 和馬

-

16. 長谷川 竜也

長谷川がもう3人いればやりたいポゼッションサッカーは成立するのだろう、そう思わせるほどプレー強度がズバ抜けている。

いつでもボールを出し受けできる最適なポジション取り、ドリブルやパスのプレー選択と実行を非常に高い水準で継続している。それでいて体のキレで判断する限りまだトップフォームで無いように見えるから本当にワクワクさせてくれる選手だ。

シュートのキック力と精度の低下から決定力が下がってしまっている現状は少し気になるが、7番や11番ロールから10番ロールに転向する中で、プレーの優先度がどうしてもシュートからパスやドリブルが高くなる変化があるので、決定力低下はよく見かける現象ではある。彼の事だから、早い段階で修正してくるだろう。あまり心配はしていない。

個人として問題がないなら次はチームの問題に対して要求されてしまうから選手は辛い立場だが、彼の高いインテリジェンスをチーム全体へ伝播することができれば間違いなく浮上のきっかけになるだろう。現在、押し込んだ展開で彼の意図にしっかり付いていけているのは小川と中村、三田が印象的であり、彼らがまるで中間管理職のように他の選手へ意識を共有していけるかも重要になりそうだ。

サイド(WB)起用を熱望する声が聞こえるが、トップ下起用でも実質アタッキングサードを広く動き回っているため、右でも左でも真ん中でもボールに絡むことができ、今のポジションの方がチームで最も"上手い"選手を常に有効活用できるメリットがありそうだ。

横浜FCにおいてはスペシャルでオンリーワンな選手。使われ方やピッチ外の役割が川崎の時と大きく変わることへ不思議はない。

偽トップ下として、長谷川が新境地(新たなプレースタイル)を確立して、なお一層輝く未来を楽しみにしたい。

20. 井上 潮音

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コントロールやパスの能力は当然高いものを持っているが、反応も良くボールを獲る技術も高いため、直近はボランチ(またはIH)で花を咲かせつつある。

別のチームで見ていた時から、(地面が近いメリットを活かす)ボールの持ち方や奪い方、当たり負けしないバランスの良さ、パスのアイデアなどがマルコ・ヴェラッティ(現イタリア代表)など小柄な名ボランチたちに重なり「ボランチに腰を据えたらもっと凄い選手になりそう」と勝手ながら思っていたため、最近のポジションでの出場は一層期待を膨らませている。

懐が非常に深く、ボールを持つと多少囲まれても奪われない。狭いスペースでも関係なくパスのアイデアも豊富だ。

一発でゴールへ繋がる所謂キラーパスのようなプレーは、本人の能力を考えればまだまだ少ないが、連携が深まっていくことで量産体制に入ってもおかしくない。

あえて課題を上げるなら、チームメイトへの遠慮が少し気になる。ショートパス一つとっても井上は緩急や浮かせるなど多彩に使い分けることができているが、ハードボール(強いパス)の選択がまだ少ないように感じる。受け手を気遣ったコントロールしやすいボールではあるが、味方を信用してもっと強く速いパスをつけても良い場面はまだまだある。ビルドアップでチーム全体のパススピードが上がれば次のプレーへの余裕が生まれ、ボール保持の質も上がるはずだ。

25. 三田 啓貴

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開幕戦からさっそくJ1の基準を示すインテンシティを見せた。J1でボールを保持して主導権を握りたいなら、三田のプレー強度が出場する選手たちの基準になるのかもしれない。

一方で、戦術理解度は開幕から徐々に上げている印象。攻守ともポジション取りなど周囲との連携も整理されてきて、いよいよここから三田の特徴を出していけそうだ。

ストロングポイントはやはりキック。プレースキックはもちろんだが、流れの中で期待値の高いミドルシュートを狙うことや中長距離のパスで展開を変えるなど。今まで詰めてきたショートパスの距離感や攻守におけるポジション取りなどはそのままに、自分のプレーを出していけるかに注目したい。

31. 坂本 亘基

山根と同様に攻守にバランスの良い選手。本人のことを考えれば、このままバランスよく全体的に能力を伸ばしていくのが理想的だが、今の4-2-3-1のWBで出る場合チームが勝つためには攻撃力がさらに求められていく。

昨季の形(3-4-2-1)でWBとして入ったら、どのようなプレーを見せてくれるのかは気になるところだが。

少し無理を感じる今の守備タスクもしっかりこなしてしまう献身性と豊富な運動量。おそらく他の選手を抑えメンバー入りを続けているのは守備力を評価されてのことだろう。

対照的に、攻撃の部分(4-2-3-1での)WBとしては物足りない現状。ドリブルで相手のマークを剥がすことができず、失うリスクを考えて仕掛ける回数自体も少なくなっている。ただ最近はカウンター時などで、中に入ることでプレーのスペースを確保し、得意のキックを見せる場面も新しく増えてきた。

J2で見せたようなプレーを今後どのようにしてJ1で再現していくか。

個での打開力をJ1でも発揮できるよう成長させることは一つ。二つ目として、フリーから良質なクロスやシュートを量産できるかはチーム戦術の浸透も鍵になる。チームの問題が改善されたその時に、フリーからしっかりキックで違いを生み出せるよう準備はしておきたい。

33. 近藤 友喜

バイトリーダーは入社一年目からさっそく良い仕事をする。特別指定の期間でしっかりJリーグの水準へ押し上げてきた印象。

仕掛けるドリブルなど縦の推進力を見せていて、近藤のサイドを使って相手陣内へボールを押し込む展開も多い。

ドリブルや連携で相手を剥がす・抜く、そこから危険なクロスを入れるところまではできているが、あと一歩、中と合わず得点へ繋げられていない。攻撃は水物で結果が出なければポジションを失ってしまう可能性もあるだけに、あとはアシスト・ゴール・プレアシストなど早い段階で結果を出しておきたい。

172cmと決して身長は高くないにも関わらず、ボールの落下地点を読み体を入れる(前に入り相手を背負う、相手を騙してフリーでボールを受ける)のが上手いこともあり、ロングボールがよく収まる。それは空中戦を本業とするCBを相手に競り合う小川(真ん中)より可能性の高い選択肢になることも多い。後ろから短く繋ぐにしても、ハイプレスから相手が全体を押し上げてくるのを牽制する・いなすためにも長いボールの選択肢は常に持っておきたく、近藤の有無でビルドアップの確率は変わってきそうだ。

35. 宇田 光史朗

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36. 高塩 隼生

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37. 清水 悠斗

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41. 新井 瑞希

カップ戦でコンスタントに出場できているものの、リーグ戦の出場は無い。おそらく現在は1.5軍的な立ち位置なのだろう。裏を返せば、きっかけ次第でリーグ戦へ絡んでくる確率が最も高い選手の一人。カップ戦で相手の強度がそれほど高くない影響もあり狙い通りプレーできているケースも多いため、その辺りは考慮した上で考えていきたい。

ストロングポイントはやはり、独特なリズムが特徴のドリブル。良い状態で持てば相手はほとんど飛び込んで来れず、個での打開力はチーム随一であることに間違いはない。

押し込んだ展開で、一人剥がせば・抜けば決定機(ゴールやアシスト)という場面をいかに作れるかがチームの課題としたら、新井個人としては、フリーになった場面でクロスやシュートで決定的な仕事を確実にできるよう準備をしておきたい。

"フリーにしても危険なプレーが出てこない"と相手に判断されれば、手に負えないドリブルは気持ちよくさせておいて、その先(精度の低いクロスやシュート)で確実にボールを奪う守り方にシフトされてしまう。現代守備の基本は"相手の良い攻撃を止める"のではなく、"得点に繋がりづらい悪い攻撃に誘導して期待値の低いフィニッシュをさせてボールを獲る"こと(クロスが合わない,外に出る・シュートが枠外,弱い,ブロックに直撃など)。

ドリブルで抜かれたら決定機を作られて危険だと思えば思うほど相手は不自由になり、新井のドリブルが活きてくる。

ドリブルで相手を躱わした先のプレーは長谷川という素晴らしいメンターがいる。守備のポジション取りは坂本が参考になるかもしれない。多くを吸収して1試合でも早く試合に出てきて欲しい。

50. 小川 慶治朗

新井と同じく、カップ戦でコンスタントに出場できているものの、リーグ戦の出場は無い。おそらく現在は1.5軍的な立ち位置なのだろう。裏を返せば、きっかけ次第でリーグ戦へ絡んでくる確率が最も高い選手の一人。カップ戦で相手の強度がそれほど高くない影響もあり狙い通りプレーできているケースも多いため、その辺りは考慮した上で考えていきたい。

ドリブルやフィジカル、テクニックなどのプレー強度は今のリーグ組と比較しても遜色ない。特にスピードはやはりチーム内トップレベル。あとはそれらを活かす個人戦術の向上が大事になる。インテリジェンスが低いというわけでは無く、現在志向しているサッカーで使える手札が元々多くなかったことで、戦術理解が少し遅れている。特に、ある程度守備も意識しながらボールを運び押し込む攻め方で、タイミングや位置が良くない場面もある。リスクを取るべき、取ってはいけない、失い方など。

(ハイプレス、プレスバック共に)プレッシングがかからない、いかない、いけない時が多い以上はなかなかファーストチョイスにはなりづらい。守備の意識も高いように見えるし、攻撃ではやはり違いも見せる。ポジション取りを含めた戦術理解を早く進めることで、リーグに絡んでいけるかに注目したい。

DF -Defender-

2. ンドカ ボニフェイス

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チーム内で最も対人が強く、特にフィジカル面の無理が効く選手の一人。ワントップにフィジカルモンスターを置くチームが多いJ1という舞台を大型補強なしで生き残っていくには、ボニのような選手に経験を積ませながら育てる覚悟とノウハウがチームには必要だ。

これだけオフザボールにフォーカスして話しているが、足元の技術に特段問題があるという訳でもなく、それどころか左右長短、臆することなくパスを供給する。

現状,"使われるCB"としては満点から及第点だが、指示役のガブ離脱後から失点に直結する判断ミスが多くなっている。もちろんガブが復帰すれば、あるいはカップ戦でアピールしている吉野がうまく統率できれば、ボニが再び高いパフォーマンスを見せる可能性はあるが。

ただ、チャレンジ&カバー、コースの限定など、守備原則の連携をボニ主導で統率できれば、それが最もチームにとっては財産になる。

失点数を抑えるキーマンになることは間違いないが、ここでポジションを失わないためにもここからの試合でしっかり結果を出したい。

3.中村 拓海

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現代的なSBの典型。中盤の選手のようにボールを持ち、俯瞰で最適なポジションを取り、相手サイドアタッカーに対応するスピードを持ち、時にはCBのように守備をする。

少し前は小柄で速いイメージが強かったSBだが、最近はもっぱら中村のような偽SBタイプが流行になっている。広いエリアをカバーしながら、高いプレー強度を要求される。そういった意味で、中村は世界基準の選手になれる才は十分に感じることができる。ただ、実現するフィジカルやインテリジェンス、テクニックは申し分ないが、プレー強度はまだまだ課題。特に守備はシンプルに穴を開けることも多い。

リスクを取るべきなのか、セーフティにいくのか、他に良い選択肢を見落としていないのか。考えながらプレーできるほどJ1は遅いリーグではないから、トレーニングやゲームの中で身体に染み込ませていくしかない。中村自身が高い意識でインテンシティ向上に取り組む必要もあるが、チームとして強度の高い練習をしていくことも同じくらい大事になる。

逸材を潰すか昇華させるか。勝負の2年目。

5. ガブリエウ

ガブがいればもちろん結果や内容は大きく違ってきただろう。それほど卓越した選手なのは間違いないが、これまでも比較的コンスタントに負傷離脱をしてきた中で、もしチームが彼依存になっていたのなら構造に問題があったとも考えられる。

負傷を不運だと嘆いていても仕方がないから、スカッド脆弱性を早い段階で発見できた・ポジション奪取(CB)のチャンスが来たとポジティブに捉えて、チームは次に向かってくれていると信じたい。

6. 和田 拓也

現在の戦術では、ゾーンディフェンスの際にSBの位置で守り、ビルドアップの際は中に入って中盤底から押し上げながら攻撃参加をする。

その中で、昨季に比較して体を絞り今季はフィジカルをSB仕様にして、あくまでボランチではなく偽SBとして挑んでいる印象。

その効果とインテリジェンスの高さもありSBとしてここまで守備はさすが穴を開けることなくこなしている。しかし、やはり裏のスペースを狙われた時はプレスバックで追走も間に合わなずという場面も。

そして本来得意である攻撃だが、ここまでは意外と苦戦している印象。原因が和田だけにあるわけではないが、効果的なパスをつけることが少ない。守備に欠点が0では無い以上、攻撃で差を生む必要があり、ポジションを確立していくためにはもう1段リスクを取るなりギアを上げたい。要求されているレベルは非常に高いが、和田なら期待に応えてくれるはずだ。

17. 武田 英二郎

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19. マテウス モラエス

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22.岩武 克弥

落下地点を正確に読むことで高さの不利を補い競り合いで勝つことはJ1でも通用している。得意のフィードもおそらく冴えているが、現状フリーの受け手がなかなかチームとして作れていない影響もあり良い展開を多く作ることはできていない。

課題はやはり対人のところ。2CBの場合はやはり中央の1対1で相手のFWを一人潰さないといけない場面がどうしても出てくる。そこを抑えるために都度味方のカバーが必要では、ゴール前のどこかでいつかスペースが生まれてしまう。彼本来のポジションであるSBや3CBであればボランチなどのカバーありきでも何とかなるが、CBとしてはやはり致命的になってしまっている。

岩武が悪いという話ではなく、あくまで起用の問題。あるいは彼のユーティリティ性に頼らざるを得ない台所事情の問題。岩武が良いCB(SB)であることに間違いはなく、チームもそれに自信があるなら、そろそろ3CBなどにチーム戦術を変更してくる可能性もある。

120%の働きをしている彼にこれ以上の要求はない。強いて言えばメンタルの部分。チームを引っ張る資格は十分にあるから、ピッチ内外で遠慮することなく発言をして、チームの守備をまとめて欲しい。

26. 林 幸多郎

ポジションを争う相手がチーム戦術の主軸である中村なこともあり出場は限定されているが、豊富な運動量と、さっそくJ1で通用することを証明する堂々の守備力を披露。危機察知能力も高く、若いのにガツガツしすぎず渋い守備対応を見せる場面も。リーグ戦でどれだけ再現できるかは見てみたいところ。

あとは攻撃だが、おそらく一般的な縦方向の攻撃参加(オーバーラップなど)であればある程度力を発揮してくれそうだが、現在のチーム戦術ではSBのタスクが攻守に複雑すぎるほどで、プロ1年目の林が急激にそこへフィットしていくのはなかなか難易度が高い。しかし両サイドをこなすセンスの高さで早くもスタメン争いに絡んでくる期待値も高く、もしかして代表招集により離脱した中村に代わり6節にでもスタメン入りする可能性は高い。

27. 吉野 恭平

ガブ離脱により、守備統制をしつつ最終ラインからビルドアップで流れを作る役割を主には岩武が(ボニと少し分け合う形で)行っていたが、カップ戦でCBに入った吉野が高い強度でビルドアップと守備を披露した。

ボニ岩岳コンビが少し気になっているのが、自分たちが主導権を握ってある程度ボールを押し込んだ展開でも二人で最終ラインに残ってしまっていて、攻撃に厚みができず間延び気味になっていること。細かく繋いでボールを保持するなら縦のコンパクトさが重要になる。その点で、吉野は積極的に押し上がり攻撃参加することで違いを見せる。カップ戦の強度とはいえ背後に穴を空けることも無く、MFもできる自身の特徴を最大限活かしつつCBとして及第点以上のプレーをしている。

リーグではスタメンこそないがメンバー入りを続けているため、カップ戦のアピールが実り、スタメン出場から大量失点が続く最終ラインを救う活躍に期待したい。

32. ヴァンイヤーデン ショーン

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34. 西山 大雅

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42. 橋本 健人

THE・攻撃的なSB。近年の横浜FCアカデミー出身者の特徴でもある高い足元の技術はもちろんベースとしてあり、加えてスピードのある積極的な攻撃参加で危険なクロスを量産。素晴らしいキックもあるため、戦術に慣れてくれば今以上にゴール(シュート)も狙ってきそうだ。

チームの決め事としてケアされているだろうから、橋本が上がった裏をロングカウンターなどで狙われるということはそれほど多くないだろうが、現状はシンプルにゾーンディフェンスをした状態でスルーパスなどで橋本の背後を使われ危険な場面を作られることが多い。危機察知をして周りも使いながら自分のエリアに絶対穴を空けないことはDF(SB)としては必須能力。J2では決定機が必ずしも失点に繋がらないことも多いが、J1での決定機はほぼ得点になると考えた方が良い。

守備が改善されない限り橋本がポジションを確立することは難しいが、左SBの序列はそれほどはっきりしていない状態なだけに、守備の戦術理解を早期に進めることができればスタメン奪取は近づきそうだ。

GK -Goalkeeper-

1. 永井 堅梧

チームの失点数が多く最終ラインのミスも目立っている状況だけに、賛否両論分かれている選手ではあるが、能力はしっかりと高い。

ブロと比較してセービングこそ劣るが、足元の技術やフィードは永井の方が数段上で、中短距離のパスやフィードも難なく味方につける。ビルドアップ時も、味方は怖がって出してこないが、本人の中でいつでも受けて捌ける位置に素早く動いている。

飛び出しは相手によって凄くはまる試合と、全くはまらない試合があり評価が難しいが、おそらく試合のスピード感と頭のイメージとにズレが生じている段階なのだろう。そこは試合勘と共にすぐに改善していきそうだ。

試合勘を掴みつつあったものの、結果を持って実力を周囲へ証明できぬまま負傷離脱することになってしまった。上から試合を見ることで戦術の理解を進めつつ、復帰後のポジション争いへ備えたい。

個人として何点か気になっているポイントはある。

(1)例えばロングボール。長いボールになると精度がミドルレンジと比較して大きく落ちてしまう。受け手と意図が合っていないというよりは、狙ったところに蹴れていない印象。キック力が足りないのか、強く蹴る時に軸足が安定しないのか。

(2)コントロールでボールが懐深く入りすぎて、チョンチョンとしてから蹴るので次のプレーが遅れてしまうことが多いのも気になる。少しでも次のプレーを速くすることで緩急も効いてきて、ボール保持にも余裕が出てくるはずだ。

21. 市川 暉記

永井が負傷したため、序列を考えれば市川がそのまま正GKとなるだろう。あるいは負傷に関係なく最初5節までは永井で固定して、結果次第で6節から市川に変更するというプランも元々あった可能性もゼロではない。

市川はオーソドックスな良いGK。シュートストップは相変わらずさすがで、セービングやビルドアップでの判断にも安定感が出てきた。

負傷に関係なく市川のライバルは永井ではなくブロ。同じシュートストップを特徴にしている以上、ポジションを得るためにはブロ以上に結果を残す必要がある。毎試合失点を重ね、ブロが負傷から復帰してきてそのままポジションを明け渡すなんてシナリオにはしたくないはず。勝負の年。調子のムラを無くし、プレーの強度を高くして1年を終えられるか。

40. 遠藤 雅己

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44. 六反 勇治

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49. スベンド ブローダーセン

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レビュー|2023シーズンスタート(第1-5節まで):横浜FC【前編】

2023シーズンJ1がいよいよ開幕。リーグ戦5試合を終えて、

横浜FC 0-1 名古屋 ● 負け

湘南 2-2 横浜FC ▲ 引き分け

横浜FC 1-3 鹿島 ● 負け

FC東京 3-1 横浜FC ● 負け

横浜F4-1 京都 ● 負け

横浜FCは0勝1分4敗の勝点1で全体最下位(18位)

シーズン前に思い描いていたビジョンとは違うスタートを切ることとなった。

今回はシーズンの入りである第1節から第5節までを簡単に振り返る。

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目次

 

オフには、昨季(22シーズン)の主力をしっかり残しながら、ンドカ・ボニフェイスなどJ2で活躍した選手を多く獲得。またその他大きなところではヘッドコーチにジョンハッチンソン氏を招聘。

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1.攻撃(チームレビュー)

ハッチンソン氏のもと、チーム全体のインテンシティをJ1の水準へと高め、四方さんが横浜FCへ来た時から思い描く、しっかり後ろから繋ぎボールを多く保持することでゲーム全体を支配するサッカーへの挑戦を本格始動した。

今季も開幕からポゼッションへ挑戦。相違点は?

昨季も初戦からシーズン途中の現実路線へ戦術シフトするまでの間、ボールを後ろから繋ぐ(ポゼッション)サッカーへ挑戦していたが、昨季と今季でどのように違うのか、または同じなのか。各シーズンをそれぞれ簡単にまとめてみる。

昨シーズン序盤:

3-2-4-1(4-4-2可変)で、両側CBの一方もサイド高い位置へ上がりWBとシャドーでトライアングルを形成するような形で、サイドの高い位置でボールを保持しながら、主にクロスで仕留める。

今シーズン現在まで:

基本は4-2-3-1の可変。SBが中へ入り中盤のスペースを埋め、その分ボランチ(あるいはインサイドハーフとも言えるが)はトップ下と共にサイドへ流れるような形で、ボールをサイドの高い位置へ運び、WBとトライアングルでボールを保持。その状態から、フリーの選手を作り高精度クロスを狙うことは昨季ほど多くないが、ポケット(エリア横)を活用するなど、ショートパスを繋げながらエリア内へ侵入する意識は高くなったように感じる。

SBが中へ入ると述べたが、そのままWBの外を回る(オーバラップする)シーンも少なくないため、サイドへ人数をかけるパターンは複数用意してそうだ。

 

まとめると、アプローチこそ大きく異なるが、昨季も今季もボールを細かく繋ぎながら相手陣内へ侵入し、サイドの高い位置で数的優位性を作りながら崩そうという狙いは共通して見える。もしかするとそれこそが四方田さんの、あるいは昼田さんの目指す(観客を魅了すると考えている)攻撃なのかもしれない。

ゴールがセンターレーンに設置されている以上、センターはどのチームにとっても当然開けたくない。そのため相手陣内でボールを保持したい場合、サイドは中央より長い時間ボールを保持しやすいのはもちろん、ボールを奪われたとしても、相手の攻撃はサイドの低い位置が起点になるため、被カウンターの面でもリスクを下げるメリットがある。

5節までの攻撃面における総評としては

残留を目指すチームということを考えれば、内容は十分にやれている印象

新たなポゼッションサッカーへ挑戦している中で、主導権を握れる時間帯もあって、良い形も出て、多くはないがフィニッシュまでいくこともできている

得点数はもう少し欲しいが、こちらが早くに失点することでリードした相手が守備に比重を置く時間が長くなり、なかなか得点しづらい影響もあるだろう。もっと五分五分なスコア展開で90分やれれば、得点は自然と増えていくはずだ。

ビルドアップで変な奪われ方をしてしまうことや、アタッキングサードまで良い形で運んだ後になかなかチャンスに繋げられないことなど、問題点は毎試合少しずつ修正・整理され、共通認識も進むことで改善も見られる

チームがポゼッションサッカーへ拘ること自体に対して

昼田さんを筆頭にフロントがエンターテイメント性を追求していることは置いておいて、戦術の観点で見ても、小川航基というストライカーを主軸に据えるなら、全体を押し上げて後ろの選手も積極的に攻撃参加できるポゼッションはそれほど悪い攻め方ではない。

直近対戦した京都に惨敗したことで、シンプルに縦に攻める(縦ポンのような)サッカーへ憧れる気持ちが出るのももちろん理解できるが、それをするにはトップにポストプレーやスピードが求められる。

小川をポストプレーなど彼の主戦場でない部分で多く(長く)プレーさせるよりは、今のように組み立て≦フィニッシュに集中できる攻め方は合っているのかもしれない。

守備が安定してきて攻撃的な選手を増やせるようになれば、サウロやヒアンなど他のストライカーをトップに置くなど小川を今とは違うタスク・ポジション(トップ下やシャドーにするなど)で使うことで、もっと縦の素早さを志向したサッカーへ変える可能性も出てくるだろう。

昨季に比較してロングパス・フィードが少ないが

昨季印象的だった斜めに大きなサイドチェンジのような、ロングフィード・パスは出さない(見えてない)というよりは、見えてはいるが出せないでいるという段階にここまでは映る

単純に深い位置でフリーな選手がおそらく少ない。一見相手DFと距離は離れて見えても、長いボールにしっかり対応できる間合いでマークされてしまっている。

こちらのポゼッションに怖さ(パスやクロス、ドリブルの脅威)がなく相手のブロックをなかなか揺さぶることができていないのか、J2と比べてJ1ではそもそもブロックを不用意に動かさないチームが多いのか、原因は様々考えられるが、いずれにせよ昨季と比較して通せるパス・フィードは格段に選択肢を減らしている。

ただ、その辺りに関してあまり心配はしていない。少しずつでも選手間で互いの特徴を掴んだり、ボールの動かし方でパターンが増えていけば、判断やプレーのスピードも上がり今よりプレーの幅も出てくるはずだ。結果的に昨季のような印象的なロングパス・フィードも多くなる。

2.守備(チームレビュー)

ポゼッションサッカーを志向する以上はやはり、ボールを失った瞬間からすぐにプレッシングをかけ、素早くボールを再奪取することで自チームのボール保持率を高くしたい狙いは、ウチもある程度感じる。

被カウンターのリスクが低い場合(主導権を握っている時間)は、フォーメーションはある程度崩してでも人数をかけてボールを奪いにいく

ただもちろん奪いきれないこともある(現状としてその回数の方が上回ってしまっている)が、その場合は帰陣。シンプルに自陣でブロックを敷く。

マークを互いに受け渡し、WB(坂本など)が降りて相手のSBのところを見るなど、そこからは概ね一般的なゾーンディフェンスに近い形でゴール前を堅める。

攻撃に比較して守備は至急の改善が必要

結果がなかなか追いつかないのはやはり失点の部分。前で述べたように攻撃が少し良くなっても、ここ数節のようにあまりに簡単に失点してしまっていては試合にならない。「守備は攻撃の準備」という考え方があるように、攻撃をするためにもやはりまずは守備がある程度成立しないといけない。

試合やトレーニングなど選手のプレー単体で見れば、選手たちの個の質でスコアのように大きく相手と差をつけられているとは思えない。では何がうまくいっていないのか、なかなか試合の中では見えづらい部分ではあるが少し考えてみる。

選手間の連携:

単純に選手間で連携が取れていないケースも実際のところは多いように見える。

数では同等あるいは優位に立っていても、チャレンジ&カバーが被ってしまってスペースができてしまったり、シュートやパスコースの限定も被ってしまってがら空きのコースができてしまうことも。

多くはないカウンターがそのまま失点繋がってしまっているのも、これらの部分が大きな原因か。

ただ、認知・反応できていない訳ではないので、選手間で連携が深まっていけば改善されていく期待感はある。

戦術のミスマッチ:

守備戦術を整理する必要もありそうだ。

(1) そもそも前に述べたような守備の原則部分が詰まっていないのは、守備的な選手がタスク過多になっている可能性もある

(2) またここが最も簡単ではないが、選手間の互換性も考えていく・見つけていく必要がある。

例えばブロと岩武は互換性が非常に高いユニットだった。ブロは守備的なGKで空中含めゴール前は絶対に穴を開けないタイプ。岩武は広いカバー範囲とフィードが特徴。二人を中心にペナルティエリアを制した。

現在はチグハグで最適な組み合わせを見つけられていない。セットプレーでの失点はおそらくその影響も大きい。相手のストロングに対応するためにも、互換性の高い組み合わせを見つけたい(できれば複数パターン)

(3) 守備時に何か無理が発生している印象がある。ブロックを敷いてゾーンで守る際、攻撃で前がかりになった多くの選手が残り、そのまま戻りきれず揃わないことも多い。特にWBが印象的。攻撃時ゴールライン付近まで高い位置を取り、その後すぐに守備で自陣ペナ横辺りまで戻らないとチーム守備が成立しない場面が多く見られ、ポジショニングがどうしても攻守で中途半端になってしまっている。WBが深い位置まで侵入した場合はそこに中盤の選手が一人入るのか、相手SBの位置でWBのポジション取りも変えるのか。

攻撃と守備の戦術でギャップが生まれているため、その辺りの整理は今後進められるはずだ。"守備を改善するため"、さっそく6節以降"攻撃の形を変える"可能性も考えられる。

 

3.選手別レビュー

→【後編】に続きます!

 

J1昇格には勝ち点いくつが必要?【考察】

2022シーズンJ2リーグも、開幕からあっという間に10節が終了。

シーズンの約4分の1を消化したことで、ある程度、チーム間の力関係も見えて来たでしょうか。

 

試合中で例えるなら、見合う時間が終わり引水タイム。

このタイミングで有利不利は分かるかもしれないが、結果がどうなるかは当然まだまだ誰にも予想がつかないですね。

(特に"魔境"や"沼"と表現されることも多いJ2においては尚更でしょうか)

 

しかし、分からないながらチームの現在の戦績がどの程度昇格に近いのか、遠いのかは常に意識しておきたいところ。

健全なサポーターライフに、過度な不安や、慢心が引き起こすショックは毒ですからね(それが楽しくもあるのですが←ジャンキー)

 

理想は、浮かれる時はしっかり浮かれ、持つべき時はしっかり危機感を持つ状態。

 

そのためにも今回は、"自動昇格圏に入るために必要な勝ち点の目安"と、"勝敗の目安"を、過去のシーズン結果を見ながら簡単に考察してみました。

 

■自動昇格圏に入るためには勝ち点いくつが必要?

自動昇格ができるのは今季も変わらず上位2チーム。(←自動昇格圏)

過去5シーズンの2位の勝ち点は以下のとおり。(3位の勝ち点+1で平均を求めようとも考えたが、それはおそらく現実には存在し得ない勝ち点であるため、素直に2位の勝ち点で考えることにした。)

シーズン 勝ち点(2位)
2021 84
2020 84
2019 79
2018 76
2017 80

■ 自動昇格圏に入るためには、平均で、80.6pt。

■ 勝敗では24勝、9分、9敗が目安となった。

 

分かってはいたが素直な感想として、"やっぱり昇格の壁はとても高い"。

○42試合でたった9回しか負けてはいけない。

○2試合で1勝以上のペースで勝ち続けなければならない。

まだ数十試合以上あると油断していたらあっという間に振り落とされてしまう。自動昇格をするためには、奇跡と言えるシーズンを過ごす必要があるのかもしれない。

1試合あたりの勝ち点目安は、約1.92pt。

数字だけ見ると笑ってしまうが、勝ち点80でも3位に終わるチームもあったことを考えれば、これがリアルな数字なのかもしれない。

シーズン序盤とはいえ、このペースに振り落とされないで付いて行けているチームはいくつあるだろう。つくづくJ2とは恐ろしい場所だ…

まさにシーズン開始と同時に昇格を狙う全てのチームが綱渡りで脱落レースをしている状態。

内容を向上させながらも、常に勝ち点を拾い続けることが自動昇格圏争いに加わる切符になりそうだ。

 

■ここまで好調な横浜FCは?

さて、マイティームの話を。

横浜FCはシーズン(2022)開始から、未だ無敗(8勝2分0敗)で首位を独走。

10節終了現在、2位との勝ち点を8に広げる。

昇格、優勝がチラついてしまう人も少なくないだろう。

 

スタートダッシュに成功したことで、ある程度勝ち点に余裕は出来たはずだが、実際のところはどうだろう。

◯"自動昇格圏に入るために必要な勝ち点の目安"

◯勝ち点目安の平均線

横浜FCの勝ち点推移

◯(比較として)2位町田の勝ち点推移

上記を簡単な図にまとめてみた↓

こうして見てみると、横浜FCの勝ち点推移は、印象通り順調と言えそうだ。

1試合平均2.6pt獲得しているのだから当然といえば当然なのかもしれない。

 

今は順調そのものであるから、特別意識する必要はないが、もしもこれから先に、少し調子を落とすようなことがあっても、上記オレンジの平均線(自動昇格圏勝ち点推移)を下回らない限りは自動昇格のラインにしっかり乗っているのだから、安心して見ていきたい

そして、できればその雰囲気をピッチにも伝え、選手たちには伸び伸びとプレーさせて上げることも大切だと思う。

 

加えて上の表で少し気になったのは、2位以下である。

横浜FCが独走しているから分かりづらいが、2位以下も決して悪くない戦績を辿っているように見える。

シーズン序盤とはいえ、2位町田でもオレンジの平均線にピッタリ沿う形。

それはつまり、自動昇格圏の脱落競争で戦えていることを表す。

町田と勝ち点で並ぶ東京V含め、2以下は混戦状態。そのうちの何チームかはおそらくラインに乗って勝ち点をしっかり伸ばしてくるだろう。

横浜FCが現段階で得たアドバンテージをしっかり守れなければ、同じフィールドで毎試合戦うことになり、ストレスの中で調子を必要以上に崩すリスクも出てくる

 

とはいえ、現在のチームの様子を見ている限りは、それほど心配はしていない。

2位以下もしっかりベストを尽くしているから油断はしないように、という程度の心持ちで問題はないだろう。今は危機意識を持つような状況ではない。

 

■数字はあくまで数字

自分が少し気になり調べたことを今回は共有しました。

所詮数字は数字でしかないので、ピッチの印象などはもっと違っているはずですが、サポーターの一つの楽しみ方として、このような見方を私はたまにしてみたりしています。

みなさんもぜひ自分なりの楽しみ方があれば共有してください。

シーズン長いですが、ドッシリ構えてチームを応援していきましょう!

 

今回用いた図(チャート)は今後も不定期で更新して、Twitterなどにアップする予定です。

横浜FC 2021シーズン新加入選手まとめ【MF,DF,GK編】

開幕まであと2週間を切った。

前回はFW編ということで、新加入4選手について簡単に見てきたが(前回記事はこちらから→横浜FC 2021シーズン新加入選手まとめ【FW編】 - sun-set Football

今回は残りのポジションにおける新加入選手たちについてチェックしていこうと思う。

選手について掲載して欲しい情報などがあれば、ぜひご連絡ください。お待ちしております。

 

MF編

MFの補強は、全ポジションで最も消極的なものとなった。裏返えせば、昨季の出来にそれほど満足しているという事なのだろう。

中盤のプレー強度は2021シーズンの戦い方のベースになることは間違いなく、新加入のアタッカー陣といかに融合し、ポゼッションの質を攻撃的にできるかに注目したい。

その上で、戦術的にあと少し足りない残りのピースをピンポイントで獲得してきた印象だ。

(杉本選手は昨季の夏に途中加入したが、今回はこちらでも紹介をしたいと思う)

 


No.4 高橋 秀人 (たかはし ひでと)

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■主なポジション:ボランチセンターバック

■生年月日:1987年10月17日(33歳)

(他の1987年生まれ:六反勇治、竹重安希彦など)

■身長:182cm

■推定市場価値:550000ユーロ (約6959万円)

■プレースタイル:

ユーティリティ性が高く、攻守におけるスマートなプレーが特徴。

中間ポジションをうまく取りながらパスで攻撃の流れを作り、それらを実現する足元の技術も確かなものがある。

守備時のポジショニングミスも少なく、戦術理解力も高そうだ。

他にもDFのように空中戦が可能で、中長短のパスの精度も悪くない。

派手さこそ無いものの、選手として非常にバランスの良いプレーヤーだ。

■期待:

ポゼッションサッカーを志向するチームにおいて、セカンドボールをより多く回収するために、空中戦に強いMFを置くことはヨーロッパなどでもよく見る手段である。高橋秀人も例外なくそのことを期待されての獲得だろう。

多少足元の技術が劣ろうとも、空中戦に勝ちセカンドボールを物にできるというのは、それほどまでにボール支配率へ与える影響が大きい。

またその他にも、攻守両方のセットプレー時に効果を発揮する事が予想される。

CB2枚とCF1〜2枚のみの相手に対して、自チームはそれに高橋を加えた状態でセットプレーに挑む事ができるため、空中戦要因の数で優位に立つことができ、うまく立ち回ればどこかでアンマッチを作り出せるかもしれない。

セットプレー時、各ポジションに個で勝てる選手を配置できない横浜FCの資金下においては、数的優位に立ちながらセットプレーに挑む事が非常に重要であり、そのために高橋秀人が機能することに期待かかる。

■端的に言えばどんな選手?:

元日本代表の長谷部誠がイメージしやすいのかもしれない。

プレーもそうだが、精神的な周囲への影響力という面でも似ているように感じる。

 

No.31 杉本 竜士 (すぎもと りゅうじ)

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■主なポジション:サイドハーフ

■生年月日:1993年6月1日(27歳)

(他の1993年生まれ:韓浩康、志知孝明など)

■身長:164cm

■推定市場価値:350000ユーロ (約4429万円)

■プレースタイル:

アジリティ(俊敏性)を活かしたドリブルと正確なキックが特徴。

両サイドでプレーすることが可能で、縦に突破してクロス、中に切り込んでシュートとプレーの引き出しも多く、またその質も高い。

小柄な選手だが、当たり負けするという心配はなく、相手を背負ってドリブルする姿は昨季にも見せてくれた。

■期待:

昨季の杉本は一旦忘れていいだろう。彼本来のプレーが出るにはあまりにも合流後の練習時間が短く、また実践から離れた時間が長かった。今季の彼のプレーを見て判断して欲しい。

今の横浜FCにはスピードを活かしたドリブラーが多く、相手DFにしっかり引いて守られると、そのスピードはどうしても活かしづらくなってしまう。速攻を封じられた際に、ボールを持ってパスを回せど攻め手に欠け、結局昨季は遅攻での得点がほとんど生まれなかった。

そこで杉本のようなタイプのドリブラーが活きてくるはずだ。

流れが完全に停滞した所からでも、いわば無理やりにでもドリブルで突破することが出来るため、そこで相手DFがカバーに入れば陣形に淀みを生むことが出来るし、クロスやパス、シュートによってチャンスメイクにまで至れば必ず得点の形ができるはずだ。

ドリブルで仕掛けることによって遅攻時の攻撃のスイッチを入れる(起点になる)プレーに期待したい。

■端的に言えばどんな選手?:

ポゼッションサッカーに最適な攻撃的サイドMF。

 

DF編

2020シーズン最も選手層が薄かったのがDFで、特にSBはまさにチームの穴となってしまっていた。

競争も生まれづらい中でなかなかプレーの質を上げていくのは困難であるため、今オフは同じ水準でSB・CBを多く獲得し競争を激しくする狙いが見て取れる。

またポジショナルプレーへの適応能力として、複数のポジションを熟すユーティリティ性の高い選手を揃える意図も条件としてはありそうだ。


No.22 岩武 克弥 (いわたけ かつや)

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■主なポジション:サイドバック

■生年月日:1996年6月4日(24歳)

(他の1996年生まれ:手塚康平、袴田裕太郎、草野侑己など)

■身長:173cm

■推定市場価値:150000ユーロ (約1905万円)

■プレースタイル:

どちらかといえば守備寄りのSB。

対人にはめっぽう強く、豊富な運動量を有するなど、フィジカルに長けたプレーが特徴。

また、タイミングよく右サイドを駆け上がりクロスを上げる事もできれば、中央にも顔を出しつなぎに参加するなど、プロ入りしてからはその運動量を活かしプレーの幅を広げているようだ。

■期待:

横浜FCは守備時にハイプレスとリトリートを何度も切り替えたり、攻撃時は後ろから繋ぎながら前線まで運び、攻撃に失敗するとまた後ろまで戻してやり直すなど、ボールもよく動くが選手もよく動かなくてはならないのが戦術上の特徴。

昨季はMFの選手がよく走り疲れてしまっていた印象で、岩武の無尽蔵のスタミナがそれらをカバーすることで解決してくれることに期待したい。

瀬古樹が体現した偽SBの動きは戦術上極めて理想的だったが、要求される運動量と技術、守備力は高くSEでそれを体現できる選手が居なかったように思う。

しかし岩武は、同じかそれ以上のプレーをするだけのポテンシャルを秘めているはず。

SHの選手が中に入ればそこへ入り攻守のバランスを取り、ボランチの選手が前へ上がればそこへ入ってプレス参加するなど、MFの選手が昨季一人二役をしていた部分を岩武がどれだけ変わってできるかがチームとしても鍵を握りそうだ。

■伸び代:

SB特化になるには、スピードやキック(クロス)など攻撃面での個性に欠ける。

一方で、左右両方やCBが出来るなどユーティリティ性の高さがうかがえ、また運動量や周りを活かすプレーなどの長所があるため、一列前(ボランチやSH)の動きを下平監督の元で覚えることで、次世代型のSB(偽SB)として開花する可能性が十分にある。

 

No.24 高木 友也 (たかぎ ゆうや)

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■主なポジション:サイドバック

■生年月日:1998年5月23日(22歳)

(他の1998年生まれ:市川暉記、山本凌太郎など)

■身長:176cm

■推定市場価値:50000ユーロ (約635万円)

■プレースタイル:

サイドの仕事人。若いが渋さが光る。

スピードとフィジカルを活かした縦への突破が特徴。

頭を使ったプレーを心掛けているのが伝わり、ビルドアップやゲームメイクする部分にも慣れていて、キックやクロスの質も悪くない。

■期待:

同じポジションを争うのは武田や袴田や前嶋になりそうだが、どの選手とも違ったプレースタイル。

練習からアピールして競争を勝ち出場するのが一番だが、例え開幕から出れなくても長い目で見守りたい。単純に最初からルーキーを使うのはなかなか監督としても難しい。(だからこそ先発で出ることになれば、その実力は本物である)

シーズンを通して武田や前嶋、袴田が不振の時に必ず出番は回ってくるはずで、その時に他の二人には出来ないプレーをしっかりと魅せることができれば、監督にとっても采配の幅が広がるし、つまりそれはチームを救う事になる。

重要になのは初出場でのプレー。期待がかかる。

 

No.26 韓 浩康 (ハン・ホガン)

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■主なポジション:センターバック

■生年月日:1993年9月18日(27歳)

(他の1993年生まれ:杉本竜士、志知孝明など)

■身長:184cm

■推定市場価値:225000ユーロ (約2860万円)

■プレースタイル:

強靭なフィジカルを活かしたシンプルかつアグレッシブな守備が特徴。

空中戦や対人の強さはJ3で無双状態だったと言え、抜群の安定感を見せた。

見ていると、強さもありながら細く軽く筋肉をつけている印象で、上背も高いが足も長いことから、ある程度素早い動きにも対応ができそうだ。非常に良い体作りが出来ていそうで、J1でもやってくれそうな期待感がある。

■期待:

下平監督就任後に補強したCBとしては少し珍しいタイプ。どのようにして試合で起用していくのか、どのようなスキルをここで成長させ、どのようなプレースタイルを確立していくのか注意深く経過を見ていきたい。

対人の強さがJ1でどのくらい通用するかが肝になるが、クロスやセットプレーの対応、被カウンター時の対応などで安定した守備力を披露すれば、かなりチームとしても計算が立つ。

ビルドアップの部分はおそらくこれからなところがあるだろうが、勤勉な性格もありそこはすぐにフィットしてくる予感がある。

"守備の安定した選手にビルドアップを仕込む"という補強成功例に、彼がなってくれることを願う。

■端的に言えばどんな選手?:

シンプルに力強く守備をする印象的があるため、プレースタイルは川崎裕大(横浜FCSC相模原)がイメージしやすいように思う。

 

No.27 中塩 大貴 (なかしお だいき)

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■主なポジション:センターバック

■生年月日:1997年6月8日(23歳)

(他の1997年生まれ:松尾佑介、齋藤功佑、前嶋洋太、瀬古樹など)

■身長:181cm

■推定市場価値:225000ユーロ (約2860万円)

■プレースタイル:

左利きのCB。的確なポジショニングと確かな足元の技術によるビルドアップが特徴。

また昨シーズン、ルーキーイヤーながらJ2の舞台でCBとして22試合出場。自陣空中戦や守備力、ボール奪取の能力も決して低くないことが分かる。

■期待:

昨季左CBに定着したのは、中塩と特徴も重なる小林友希(→ヴィッセル神戸へレンタルバック)。

組み立て時やボール奪取時に素早く適切なポジショニングを取ることができ、ボールもきちんと収まるため、ビルドアップに安定感を齎した。チーム内パス数ランキングは一位でそれはデータとしても表れている。

当然、ビルドアップを得意とする中塩は昨季の小林同様の活躍が求められるだろう。

守備の部分では、昨季の小林も安定していたとは言えないため、彼以上の結果に期待したい。

■伸び代:

線が細い印象で、守備時のフィジカル面がどの程度通用するのかが懸念点であろうか。

とはいえ、J2をよく知る人たちの中には「対人も強い」と語る者が多く、またJ2でも体格で優位に立てていたとは言えない中多くの試合に出場し安定した守備をしていた事からも、体格差をテクニックで補うスキルは有りそうだ。

それがJ1でも通用すれば、ビルドアップ面も含め十分に即戦力として計算が立つ。

 

GK編


No.28 猿田 遥己 (さるた はるき)

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■主なポジション:ゴールキーパー

■生年月日:1999年4月23日(21歳)

(他の1999年生まれ:横浜FC該当なし)

■身長:190cm

■推定市場価値:50000ユーロ (約635万円)

■プレースタイル:

まだまだ出場も少なく未知数ではあるが、バランスの取れたGK。

恵まれた体格を活かしたダイナミックなシュートストップも良し、下平監督仕込みの足元で繋いでも良し。ロングフィードも悪くない。

■期待:

怪我の影響もあるためシーズンのどこから試合に絡んでくるのかは分からないが、ポテンシャルだけを見れば十分に出場の可能性はある。

練習から実力を示し、GKのポジション争いを激化させ、後ろから繋ぐというチームのスタイルを底上げして欲しい。

当然、試合に出ることが出来れば、過酷なシーズンにおける六反(正GK)の負担軽減とプレースタイルの安定化にも期待ができるはずだ。

 


 参考:

www.transfermarkt.com

注: 市場価値などの情報は、記事作成時のものとなっております。ご了承ください。

横浜FC 2021シーズン新加入選手まとめ【FW編】

キャンプも始まり、日程が発表されたことでいよいよ新シーズンが始まる実感が湧いてきた。

今回は、即戦力として期待のかかる新加入選手について簡単にチェックしていこうと思う。

選手について掲載して欲しい情報などがあれば、ぜひご連絡をください。お待ちしております。

FW編

-----共通した特徴として

①シュート精度が高い

-----それぞれの特徴として(②,③のいずれか)

ポストプレーで周りを活かせる

③スピードで違いを生める

新加入FWは全部で4選手。三浦知良(53)を除き、あとは結果的に総入れ替えのような形となった。

全体的に、シュート精度の高い選手が多く、"決定力の強化"を図ることが最大の補強ポイントであった。

他にもそれぞれポストプレーやスピードを得意としていて(それは昨季までの攻撃陣と大きく変更は無く)、攻撃プランを変えるというよりは、フィニッシュワークの質をより向上させる狙いがあるのだろう。

昨季はアタッカーでの最多得点が一美でわずか4ゴール。バイタルエリアへの侵入回数やセットプレーでのチャンス数を考えると比較的に少なく、決定力不足は否めなかった。補強からも監督・フロントが痺れを切らした事が伺える。

 

今オフ新加入のFWは少ないチャンスで決める選手も多いため、勝利に繋がる貴重なゴールを決めてくれるはすだ。

 


No.9 クレーベ (Kléber Laube Pinheiro)

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■主なポジション:センターフォワード

■生年月日:1990年5月2日(30歳)

(他の1990年生まれ:瀬沼優司など)

■身長:188cm

■推定市場価値:950000ユーロ (約1億1974万円)

■プレースタイル:

フィジカルの強さに加え、確かな足元の技術によって生み出されるポストプレーが抜群。

ストライカーらしいプレーの反面、守備意識も高く「フォア・ザ・チーム」の精神も魅力だ。

■期待:

昨シーズンは若さもあって素直一辺倒なパスワークが多く、相手DFを出し抜くことが出来なかった横浜FC。クレーべによるアタッキングサードでの意外性あるプレーで得点の可能性を上げたい。

楔のパスを受けてからのポストプレーでいかに安定感を持って、ゲームのコントロールに貢献できるかにも注目だ。

( 参考: 楔のパス https://footbarule.xyz/kusabi )

■端的に言えばどんな選手?:

基本的にはイバ選手が近いのかもしれない。(以下相違点)

・劣る点: 強さ、高さ、足技の数

・勝る点: シュート成功率、ヘディング、守備能力

 

No.13 小川 慶治朗 (おがわ けいじろう)

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■主なポジション:ウイング、セカンドトップ

■生年月日:1992年7月14日(28歳)

(他の1992年生まれ:マギーニョ、川崎裕大など)

■身長:170cm

■推定市場価値:475000ユーロ (約5988万円)

■プレースタイル:

豊富すぎるその運動量と、スピードやクイックネスを活かしたプレーが特徴。走り出すとすぐにトップスピードまでいくため、DFを置き去りにできる速さを持っている。

■期待:

昨シーズン、試合終盤に疲労から選手のミスが多くなり勝ち数を伸ばせなかった横浜FC

小川がもし疲労と無縁であれば、1試合を通して安定したプレーに期待ができ、それはチームの試合運びの安定にも繋がるはずだ。

また、左には圧倒的エースでスピードスターの松尾がいるため、彼のスピードやプレーにマッチするような事になれば、逆サイドの相棒役として活躍することは必然だろう。

■伸び代:

スピードなど"剛(ごう)"と言えるプレイが長所な反面、ポジショニングなど頭を使うプレーやボールタッチといった"柔(じゅう)"と言えるプレーは苦手。

シュートの精度は高いはずが、無理な体勢や位置から打ってしまうため決定率などデータは下がってしまっていたりする。

しかしポジショニングを教えるのは、下平監督の十八番。改善されれば数字面はもっと良くなるはずだ。

 

No.14 ジャーメイン 良 (りょう)

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■主なポジション:ウイング、セカンドトップ

■生年月日:1995年4月19日(25歳)

(他の1995年生まれ:立花歩夢など)

■身長:182cm

■推定市場価値:400000ユーロ (約5043万円)

■プレースタイル:

驚異的なスピードに加え、鋭いドリブルとクイックネスを生かしたプレーが特徴。

ゴールに直結する才能(アジリティなど)を全て備えたダイヤの原石。

■期待:

セカンドトップあるいはウイングとしての覚醒に期待がかかる。

組み立て時に気の利いたプレーをするというよりは、ゴールとアシストを量産する事が彼の仕事になるだろう。

また、スピードを活かしたハイプレスにも期待したい。

■伸び代:

足元の技術はそれほど高くなく、また前線から降りてきてボールを捌くなどの器用なプレーへも期待はできない。

データを見ればまだまだ伸び代は多いが、下平監督の元それらを克服しながらストロングを伸ばす事に成功すれば、J1リーグ得点王も夢ではない。

 

No.16 伊藤 翔 (いとう しょう)

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■主なポジション:センターフォワード

■生年月日:1988年7月24日(32歳)

(他の1988年生まれ:田代真一武田英二郎松浦拓弥など)

■身長:184cm

■推定市場価値:1000000ユーロ (約1億2610万円)

■プレースタイル:

ポストプレーや裏抜けなどセンターフォワードに必要な能力を全て備えている。

豊富な運動量から相手にプレスをかけ続ける献身性のあるプレーも魅力。

■期待:

ゴール・アシストはもちろん、アタッキングサードを自在に動き、ポストプレーから攻撃の形を作る働きに期待したい。

基本的に得点の取り方は、周りへ依存することのない一人で完結のできるプレーが主であるため、戦術がはまり何点か取るようならその後も安定した得点も望めるはずだ。

■端的に言えばどんな選手?:

日本人としては珍しい、本格派アタッカー。

 

No.39 渡邉 千真 (わたなべ かずま)

■主なポジション:センターフォワード

■生年月日:1986年8月10日(34歳)

(他の1986年生まれ:カルフィンヨンアピン田所諒など)

■身長:181cm

■推定市場価値:475000ユーロ (約5988万円)

■プレースタイル:

強さ、スピード、技術、すべてを備えた万能型ストライカー。

特にシュート技術の高さはズバ抜けていて、足元の技術も高い。

しなやかな動きは特徴的で、アジリティの高さが伺える。

■期待:

昨季の横浜FCは、パスワークからバイタルエリアで一美や皆川がフリーでボールを受け、それを決めきれずゴールとならなかったシーンが目立った。

渡邉の高いシュート技術をもって、少ないチャンスをしっかりと決め切る事ができれば、昨季取りこぼした得点を拾うことができ、チームの総得点数も伸びるはすだ。

また、トップスピードもそれなりに速いため、カウンターなどで松尾やジャメ、小川などスピードスターの裏へ抜けるプレーへ絡むことができるはずだ。数的有利を作ることで、より得点の確率を上げる働きにも期待したい。

■端的に言えばどんな選手?:

ここぞという所で決め、スピードのあるしなやかな動き。プレースタイル自体は瀬沼が似ているかもしれない。

 


→次回は【MF,DF,GK編】!

sunset-football.hatenablog.com


 参考:

www.transfermarkt.com

注: 市場価値などの情報は、記事作成時のものとなっております。ご了承ください。