sun-set Football

三ツ沢からフットボールを観測

雑記|J2 第1節【横浜FC】

優勝、そして1年でのJ1復帰を目指すシーズンがついに開幕。チーム、クラブ、サポーターもそのつもりで挑んだ開幕戦・・・も、まずは先行きが危ぶまれるスタートとなった。

レノファ山口が特別良かったという感じにも見えず、おそらく多くの人が見て感じた通りウチが良くなかったのだろう。

何が良くないのか、何が前節のようなゲームにしたのか、早速考えてみようというのが今回のテーマ。まだまだ1試合のみで分からないことばかりだが、思いつくままに書いていく。

 

先に少し話すと、プレーを見た第一印象は、基本的に選手個人のコンディションは全員がそれほど悪くなく、選手の層はやはりJ2の中でもトップクラス。今はチームとしての問題が大きい状態と考えている。

可変しなかった可変システム

ボランチが横並びのままで、なかなか中央を攻めきれない

・長めのボールからたまにアタッキングサードにボールが入っても、相手のディフェンスの数に対してワントップを筆頭に前線は全体的に孤立気味。ゴール前に迫れる気配無く。

・結局サイド深くにボールを運ぶことが多くなるも、WBと同サイドのシャドーが同じレーンに押し込まれバックパスに逃れるか苦し紛れのクロスでボールロスト

試合後に色々と上記以外のことも考え、細かい課題が山積みのように見えたが、結局は守備→攻撃の可変が全然できていなかった(うまくいかなかった)ことに大元の原因を今は一番に感じている。

 

3-4-2-1の状態から、特に中盤より後ろの選手は初期位置から思い切りよく離れることができず(自分の守備担当エリアにへばり付き)、強いて言えばWBがサイドのレーンを上下に動く程度で、そのため前線のどこにおいても数的優位性を築けず、相手ブロックを崩す手掛かりすら掴めなかった(シャドーとWBが被ったり・・・)。

↑少し意地悪に悪く書いてますが・・・

ポゼッションを得てからの遅い攻撃で、後ろに人数の多い守備寄りのフォーメーションのまま可変せずに攻めるものだから、アタッキングサードは単純に人数が少なくスカスカで、攻撃は単調に。そのため得点の期待値は、1:nを個人の力で突破するか、相手ブロックが手薄になったカウンターか、数的同数になるセットプレーかにほとんど限定されてしまっていて、山口も読み易かっただろう。

 

試合を通して遅攻による得点の期待値を上げるためには、「数的優位性」を守備のリスクを抑えつつ如何に作るかがやはり大事だ。

選手が充実している横浜FCなら「個の優位性」で相手の守備を上回り得点することも期待できるが、それにしても前節のままでは1:2もしくは1:3で囲まれる局面がほとんどで相手を崩すにはせめて一部のエリアでも同数にはしたいところ。

ボールを失った時のリスクばかりに気を取られ可変しないのでは、3-4-2-1のフォーメーションの恩恵を受けることは難しい。守備に重たく(かといって堅守速攻ほど守備寄りの硬い選手起用ではなく)攻撃はノーチャンスに。

守備時に5-4-1(5-2-2-1)へのネガティブトランジションはスムーズで、昨季の自信もあるせいかある程度前節も武器として見せることはできていたため(失点のシーンはミスから、何回かの決定機は福森の裏を長いボールで突かれてから)、あとは攻撃の可変をどうするかで一気に好転し得る。前節からはほとんど見て取れなかったが、チームとしてこれから整理していく必要がありそうだ。

 

可変の一例。例えば、攻守可変の選手毎移動距離を抑えるなら、WBが中に入って、シャドーが外に張るパターン。中盤が一枚上がり4-2-1-3のような形になってレーンを活用しながら人数をかけて崩していくポジティブトランジションなども考えられる。(左右反転可)

5-2-2-1 から 4-1-3-1

前節は右利きの山根を左(カットイン)、ボランチの適性も感じる中村を右に起用していたため、WBが中に入ることを期待していたようにも映り、こういった形も狙いの一つだったのかもしれない。

 

とはいえ、今回可変しなかったからといってチームとして可変のパターンを何も準備してこなかったことはまず有り得ない。上記含め当然何かしら準備はしているはずで、前節はそれが出せなかっただけではあるのだろう。

可変後の配置パターンが相手や状況に応じてチームとしていくつか決まっており、その中でどのパターンを選ぶのか選手間・ベンチ間で噛み合わなかったのが主な原因。次点で、守備位置に張り付き気味だったことを考えれば、単に開幕で固くなってしまいポジティブトランジションが遅れ、体現できなかっただけというところだろう。

まとめ

ここまで話した上で身も蓋もないことをいうかもしれないが、結局は新加入も多くまだチグハグなことが一番の原因に映る。

アドリブに強くない四方さんは、基本的に試合中にそのズレを修正して選手にさっと落とし込むみたいなことはこれからもないだろうから、ここは辛抱強く選手たちにパターンが浸透して、同じ絵を描きやすくなるまで粘り強く待つしかない。ただ、今季は潮音をはじめ昨季からの主力も多く残り、また福森・中野など四方さんをよく知る選手も新加入にいるため、これまでほどチームビルディングに時間がかからない可能性もある。

もっと楽観的に見れば、次節から選手の意識が変わるだけで可変の問題はスッと改善されるなんてことも一応ないことはない。

 

ひとまず次節。相手からすれば少し対策しやすくなってしまうが、それでも攻めのパターンを減らしてまずは攻撃の形をある程度成立させてしまうのか。あるいは、まだ慌てず理想に向けてトレーニングで実直に落とし込みに注力するのか。チームがどう整理してくるかに注目したい。